はな子日記

インド映画とNetflixの感想。ICSIの備忘録。

ラ(ブ)(原題:Loev)

「ラ(ブ)(原題:Loev)」

〈あらすじ〉

恋人Alexとの関係が上手くいかず悩むSahilはインドに一時帰国している幼馴染のJaiとハイキングの旅に出る。JaiとSahilは徐々に惹かれあうが気持ちはすれ違い…

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インド製作の静かで儚いゲイの恋愛を描いた映画。すごく演技が自然。

邦題ラ(ブ)ってブが鏡文字って意味なのかな?Sahil役の俳優Dhruv Ganeshさんはこの映画の撮影後に結核で亡くなってしまったみたい。

 

 

Extremis(邦題:最期の祈り)

「Extremis(邦題:最期の祈り)」

〈あらすじ〉

ICUで最期の決断に迫られる患者と家族、医師。その決断には精神的苦痛や倫理的な苦悩が伴う。Netflixオリジナルショートドキュメンタリー。

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24分とかなり短い。患者と家族だけでなく医師の苦しみも映っていてよかった。

このドキュメンタリーで主に撮影されていた患者は2名いて、その内1名は筋ジス末期の患者。患者はICUに入る以前から延命を望んでいないとのことだった。きっと皆んなが患者本人の意思を尊重したいと思ってはいても、いざ呼吸器を外すとなると迷いが生じる。この先死を免れることはできないけど、死の選択は取り返しがつかないことだから慎重に行わなければならない。

本人の意識レベルはどうなのか。以前から延命を望んでいなかったとしても、いざその状況になった時本人はどう考えているのかわからない。もしかしたらやっぱり生きたいと願うかもしれない。優しい家族に囲まれて、限られた時間の中でゆっくりと自分の意思を伝える患者。患者本人と家族にとって最善の選択が出来ていたのなら良かったなと思った。


わたし自身は自分の身に何かあった時絶対に延命をしたくないと思っている。呼吸器はもちろんつけたくないし、胃管、胃瘻全て行いたくない。輸液だけで自然に死にたい、苦しいのは嫌だから命が短くなる可能性が生じようが鎮静して欲しい。そう思って生きてきたけど、実際これも状況によりけりなのかもしれない。いくら今こう考えていても状況によってはどうにかして生きたいと思うかもしれない。劇中の38歳で孫が生まれたばかりという女性をみていてそう思った。子どもが出来たらまた考えが変わるんだろうな。

なんにせよ最期のあり方については家族としっかり話すようにしたい。こういう話題になると躊躇する人もいるけど、自分の理想の最期はしっかり考えて大切な人に伝えておいた方がいい。

 

 

Fire in the Blood(邦題:薬は誰のものか)

「Fire in the Blood(邦題:薬は誰のものか)」

〈あらすじ〉

エイズによる死亡の原因は貧困』高額なARVを買えない途上国のHIV感染者は死以外の選択肢がない。特許を主張し利益を求めるアメリカの製薬会社VS必要な人に行き届く安価な薬を求める活動家を追った、2013年インド製作ドキュメンタリー。

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格差、特許独占、人種差別、貿易などの話題がバンバン出てくるんだけど頭が悪すぎて貿易の話がよく理解出来なかった。つまりこの映画の後半ほとんどポカーンとしてしまった。ネットでこの映画について検索するとTPPなど貿易に関することに触れている記事やブログが多い。勉強が必要だ。

格差と価格調整という話題もすごく興味深かったんだけどこれも知識不足であまりよく理解出来なかった。


ファイザーってバイアグラのイメージしかなかったんだけど(?)ARV作ってたんだ。ファイザーの利益重視で特許独占ってやり方もビジネスと考えれば理解ができる。このドキュメンタリーをみているとシプラ社の「薬の価格は原価に基づいて決める、原価が安ければ薬価も安くする」って考え方は理想的というかあまり商売っ気が無いようにみえる、ファイザーの後に紹介されたからかな。一般的な?薬の価格の決め方はどうなんだろう?


「薬価を下げて薬を購入出来たとしてもアフリカ人は適切な内服が出来ないのでは?」「インドの工場は不衛生で薬の品質も劣るのでは?」などの差別的な発言や印象操作にはハッとさせられるものがあった。

現にわたしも似たような印象を持っていた。なんとなくアフリカの人は教育水準が低いイメージを持っているし、インドも発展してきたとは言え衛生概念はまだまだと思うところがある。でもわたしは実際に現地に行ったことはない。全てインターネットやテレビ、マスコミ、ドキュメンタリー映画などで見聞きしたことからこういう風な印象を持ってるということ。これって危険かもしれない。マスコミやドキュメンタリーがみせる情報は国のごく一部の情報を切り取ったことに過ぎないからそれだけを鵜呑みにすると、現実とかけ離れた知識しかない状態になってしまうのかもしれない。そうすると無意識のうちに差別的な発言や思考をしてしまう可能性があるし、それが差別的とすら気付けないかもしれない。怖すぎる。気をつけようと思った。

あと「(エイズによる危機がアフリカやアジアの人々ではなく)白人の危機なら状況は違った」という言葉が出てきたのもすんなり納得してしまった。優勢思想みたいなのが知らない内に身に付いてたのかもしれない。

色々勉強して正しい知識を身につけなければと思った。

Angry Indian Goddesses(邦題:怒れる女神たち)

「Angry Indian Goddesses(邦題:怒れる女神たち)」

〈あらすじ〉

女友達の朗報を聞き集まった女性たち。女友達の独身最後の時間を皆んなで楽しく過ごす。ところであなたの結婚相手は誰なの?それぞれの女性が抱える悩み、女性のインド社会での生きづらさ、レイプやLGBTといった社会問題を描く。

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これ中盤までSATCとテラスハウスを足して割ったような雰囲気でほのぼの成人女性の友情ムービーかななんて思ってたら後半予想外な展開の連続。結婚の流れは予想できたけど、それ以降は驚いた。どちらかといえばバッドエンド。ずっとスマホで写真を撮ってた娘は結構危険をすり抜けてきてるんだね。

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Lakshmi役Rajshri Deshpandeは「慕情のアンソロジー」と「聖なるゲーム」の両方でお手伝いさんの役を演じていた方だ。素朴な雰囲気がかわいいのにセクシー。

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Big in Bollywood(邦題:ボリウッドの大スター)

「Big in Bollywood(邦題:ボリウッドの大スター)」

〈あらすじ〉

ハリウッドで売れず苦労していた俳優Omi Vaidyaが「3idiot(邦題:きっと、うまくいく)」でChaturを演じると一躍インドのスターに!今までと生活が一変した彼を追うドキュメンタリー映画

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この方ヒンディー語話せなかったんだ。Chaturはインド訛りの英語を話すキャラクターだから全然気づかなかった。俳優って職業とハリウッドで俳優をしているってステータスからなのか結構態度がでかくて驚いた。

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Omiが「僕はボリウッド映画に興味はありません ダンスとか歌とか大げさな演技とかしたくない」って言ってて笑った。当たり前だけどインドにルーツがある人みんながボリウッド映画が好きかといえばそうじゃないか。


Aamirさんが観衆の前でAal izz wellを歌うところや、パパラッチにつかまるアッキーなども見られて良かった。あとインドの一般人に「Aamir Khanって誰?」って質問をするシーンも面白かった。棚ぼた感。

ハリウッドとボリウッドの違いを予算や収益、ファンの特徴などから説明してくれるのも面白かった。

運命の子供達(原題:Daughters of Destiny)

「運命の子供達(原題:Daughters of Destiny)」

〈あらすじ〉

アウトカーストに生まれた子供へ無償の教育とインドの慣習やジェンダーに捉われない自由な未来を考える機会を提供するシャンティ・バヴァン(Shanti Bhavan)を舞台に、成長する子供達を追ったNetflixオリジナルドキュメンタリー。従来のアウトカーストの家族が背負う宿命を変える力を培い、子供達はインドの未来を背負って生きる。

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原題「Daughters of Disteny」にある通りこのドキュメンタリーで焦点が当てられているのは女子。女性への教育の必要性だけでなく、男友達と一緒に街を歩くことで社会から向けられる目線、伝統的な婚礼問題などインドでの女性軽視や社会問題ついても映し出される。また、男子生徒へのジェンダー教育の場面も映っており印象的だった。

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4歳で入学し親元を離れて教師や寮母たちに大切に育てられる子供達。シャンティ・バヴァンでは学校教育を全て英語で行う。また、インドの慣習やジェンダーに捉われない思考を教わる。よりグローバルな価値観や倫理観を培った子供達が、20歳を過ぎてありのままのインドの世界に戻っていくと葛藤が待っている。あらゆることから守られているシャンティ・バヴァンの外は、言い方は悪いけど無法地帯のよう。はじめ家に帰りたいと思っていた子供達が成長するにつれ学校から出たくないと言うようになる。年に2回の帰省の度に現実を突きつけられる子供達の姿をみると、シャンティ・バヴァンの教育によって培われる価値観や倫理観と、現在のインドで一般的とされるそれのギャップがあまりに大きいのではないかと思いフォローの必要性を感じる。このギャップはインドの未来を考えると必要不可欠なのかもしれないけど、育った環境と全く違う価値観の世界へ投げ出される子供達をフォローしないと、せっかくの努力が水の泡になってしまいそうですごく心配になった。

それから、学校教育へのフィードバック、社会貢献、家族を背負うという課題と付き合っていかなければならないのはかなりの重圧だろうなと思う。シャンティ・バヴァンを卒業したら自分の人生を奨学金のように学校に返済し続けるみたいにみえてそれはそれで大変だなと思った。よっぽど奨学金を返済する方が終わりが見えていいかもしれないとも思った。


この教育を受けられたことが善いことと断言出来ない子供がいることも事実。シャンティ・バヴァンは各家庭から1名しか通うことができない。(ここの選定システムについてはよくわからなかった。)このため生徒の兄弟姉妹はシャンティ・バヴァンに通いたくても通うことができない。シャンティ・バヴァンへ通う姉への嫉妬により人生を狂わされた妹が自殺するに至ったエピソードがあった。

また別の家庭で、公立学校に通っていた姉が中退し家でマッチ箱を作る内職をしているというエピソードがあったが、シャンティ・バヴァンに通う妹が帰省する度に姉妹の明暗がはっきりしているようでみていて辛かった。言動や表情も怖いくらいに違って、お互いどういう感情を抱いているのかと心配になった。何事も善し悪しがある。


綺麗事だけど、全ての子供が自分の希望する教育を受けられて、自分の未来を自分で決めて、人生を楽しめる環境で生きることができたら素晴らしいのになと思った。みてる間ずっとこのドキュメンタリーによってドネーションが集まるといいなあと思ってた。


シャンティ・バヴァンプロジェクトのホームページからドネーションできるみたい。

http://www.shantibhavanchildren.org

わたしはマララ(原題:He named me Malala)

「わたしはマララ(原題:He named me Malala)」

〈あらすじ〉

17歳の少女がノーベル平和賞を受賞した。タリバン制圧下のパキスタンで教育の必要性を訴え銃撃されたマララは、奇跡的に一命を取り留める。「自分は特別でない、どこにでもいる子供の1人」彼女の生い立ちや名前に込められた意味、彼女が危険を伴う教育啓発活動をする意味とは。

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本編とあまり関係ないんだけどアニメーションでのマララの父の吃音の表現が面白くて感動した。なるほどな〜!と興奮。

 

恥ずかしながら17歳の少女がノーベル平和賞を受賞したことすら知らなかった。マララが「怖いものはない」と言ってたのが印象的。若いってすごいなと一瞬思ったけど年齢関係なく彼女が強いから出た言葉よね。