はな子日記

インド映画とNetflixの感想。ICSIの備忘録。

不妊治療のこと

無事一つ目の壁をこえた。一つ目の壁をこえたというのは採卵した卵が無事受精したという意味。そこから!?と思う人が多いかもしれないけどそこから躓くこともあったからそれだけで嬉しい。まだまだこえなきゃいけない壁があるけどもう出来ることはないので大好きな映画をみて楽しく過ごす。

不妊治療をする必要がなければわたしも「『普通は』セックスすれば妊娠する」と思っていたはず。治療をしてると妊娠は奇跡だと思う。妊娠に至るまでには卵胞がある、卵胞が成熟する、排卵する、卵をピックアップできる、受精する、分割する、着床する、着床継続するというたくさんの壁がある。そして不妊は女性だけの問題じゃない。精子が正常に作られる、勃起できる、正常な濃度・形状・運動率の精子が射出される。この条件が揃わなければ女性側に問題がなくとも統計学上妊娠できる確率が低くなる。

不妊治療をしていると「そこまでして子供が欲しいのか」と聞かれることがあるけど子供が欲しくなければ治療なんかするわけない。生殖医療を頼りに高額の治療費を払って苦しむなんて本当に子供が欲しいという気持ちがなければ乗り越えられない。

自然妊娠して健康な子供を出産した人は絶対に自分の子供に可能な限りの愛情を注いで欲しい。奇跡の積み重ねで生まれた命を蔑ろにしないで欲しい。自然妊娠出来ないわたしは虐待のニュースをみる度になぜこの子は我が家に生まれてこなかったのかと苦しくなる。

言わないだけで不妊治療をしてる人はたくさんいる。不妊治療は恥ずかしいことではないのに未だに世間から理解が得られないことがある。だから隠すのが一番楽なんだと思う。でも隠すから尚更理解が進まないような気もしている。だからわたしはTwitterやブログで不妊治療していることをオープンにしている。

職場に結婚後2年以上経って子供がいない人がいても「そろそろ子供を作ったら」、「子供の作り方を知らないの?」なんて言わないで欲しい。自分が自然妊娠出来たからといって「すぐできるよ」なんて言わないで欲しい。若いからといって「若いんだから大丈夫」なんて言わないで欲しい。そして不妊治療に限った話ではないけどわからないことはわからないといって欲しい。疑問に思ったら素直に聞いて欲しい。陰で憶測だけで話をして勝手に悪者にしないで欲しい。自分の知らないことに対して知識のないまま反応をするのはやめて欲しい。

体外受精以上の不妊治療をしている人はわたしも含め恵まれているのだと自覚しないといけない。治療できるだけの経済力があり、周囲の理解があるということを絶対に忘れないで欲しい。物理的に妊娠が不可能な人や経済的理由で治療することを断念した人など色々な背景を持った人がいる。自分の不妊治療が辛いあまり子供を持つことを諦めなければならなかった人々への配慮が出来ていないということはないか今一度省みて欲しい。治療を継続できていることは幸せなことだと理解しなければいけないと最近よく思う。